「外国人は派遣で雇用できるの?」
「必要な在留資格や対応業務について知りたい」
このようにお悩みの方はいませんか?
本記事では外国人の派遣雇用について、基礎知識、メリットや注意点を解説します。
外国人の派遣就労を考える上で大切な入管法についても触れているので、外国人の派遣雇用を考えている方はぜひ参考にしてください。
外国人の派遣雇用で大切な「入管法」とは
外国人を派遣で雇用する際に大切なのが入管法です。
入管法とは日本に入国又は日本から出国する全ての人を公正に管理し、難民の認定手続きを整備するための法律です。正式名称は「出入国管理及び難民認定法」です。
外国人労働者を受け入れる場合、担当者は外国人の在留カードまたは旅券(パスポート)などで、就労が認められているかどうかを確認する必要があります。
現在、日本で働く外国人が増えており、それに合わせて入管法が何度も改正されています。2024年にも入管法の改正が行われました。
具体的な改正内容は以下の通りです。
入管法を改正することで外国人が働きやすくなり、外国人労働者が増加するため、日本国内の労働力不足を改善できます。しかし、文化や言語の違いによる衝突、外国人労働者が低賃金で働かせられるという問題、日本人の雇用機会が奪われるなどのデメリットも発生します。
このように入管法は外国人労働者の雇用を考える上で大切な法律です。
採用担当者の方は最新の情報をチェックするようにしましょう。
外国人を派遣雇用するための在留資格
外国人を派遣で雇用できる主な在留資格は以下の4つです。
- 身分系
- 技術・人文知識・国際業務
- 特定技能
- 留学・家族滞在
それぞれ詳しく見ていきましょう。
身分系
身分系の在留資格は以下の4つです。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
これらの在留資格には就労制限が無いため、派遣雇用できます。
単純労働から専門的な労働まで可能です。
技術・人文知識・国際業務
技術・人文知識・国際業務とは、外国人労働者が持つ技術や知識を日本へ還元することを目的とした在留資格です。技術・人文知識・国際業務は所定の要件を満たしていれば、さまざまな企業で派遣社員として働けます。ただし、他の在留資格とは異なり、人手不足解消が目的ではないため、単純労働は認められてません。
具体的には機械工学等の技術者、通訳、デザイナーなどが該当します。
特定技能
特定技能とは国内での人材が難しい分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とした在留資格です。特定技能には16の分野がありますが、派遣として雇用できるのは「漁業」と「農業」のみです。
漁業と農業で派遣雇用が可能な理由は「他の業種に比べて繁忙期や閉散期がはっきりしている」「同地域でも作業のピーク時期が異なる」ためです。派遣による短期的な就労を認めることで、繁忙期や地域に合わせて、労働力を柔軟に調整できます。
留学・家族滞在
在留資格「留学」「家族滞在」は基本的に就労が認められていませんが、資格外活動許可を得ていれば、派遣雇用が可能です。資格外活動許可とは、在留資格の範囲外の活動で収入を得るために必要な許可です。また、資格外活動許可を得ていても、就労できる時間や業種に制限があります。
外国人が派遣就労でできる仕事
派遣就労は派遣会社と外国人が雇用契約を結ぶため、仕事内容は在留資格や派遣会社によって異なります。例えば、永住者であれば単純労働が可能ですが、技術・人文知識・国際業務であれば単純労働はできません。
在留資格とそれぞれの具体的な職種・仕事内容は以下の通りです。
在留資格 | 身分系 | 技術・人文知識・国際業務 | 特定技能 | 留学・家族滞在 |
制限 | 特に無し | 単純労働は不可 | 制限あり(農業・漁業のみ) | 資格外活動許可が必要週28時間以内風俗営業に該当しない職種であること |
具体的な職種・仕事内容 | 全ての職種 | 【技術】機械工学の技術者、エンジニア、プログラマー【人文知識】貿易関係、マーケティング、商品開発、コンサルティング【国際業務】通訳、翻訳、語学教師 | 【農業】耕種農業全般の作業畜産農業全般の作業上記関連業務 【漁業】漁業全般の作業養殖全般の作業上記関連業務 | 風俗営業に該当しない職種全般 |
また、内容は派遣会社の指示に従う必要があります。
さらに、以下の業務は派遣就労では禁止されています。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院等における医療関係業務
外国人を派遣で雇用する場合は注意しましょう。
外国人を派遣で採用するメリット
外国人を派遣で採用するメリットは以下の通りです。
- 人手不足の解消が期待できる
- 多言語での対応が可能になる
- 煩雑な手続きを代行してもらえる
- 必要な人材を確保できる
人手不足の解消が期待できる
外国人を派遣で雇用することで、人手不足の解消が期待できます。
現在、日本では少子高齢化が進み、労働人口が減少しています。このような状況で日本人だけでなく外国人を派遣という形でスピーディーに雇用することで、人手不足の解消が期待できます。外国人労働者の中には、真面目で仕事に対するモチベーションが高い人や母国の家族を養うために出稼ぎに来ている人もいるため、積極的に業務に取り組んでくれるでしょう。
多言語での対応が可能になる
外国人を派遣で雇用することで、多言語での対応が可能になります。
近年、グローバル化が進んでおり、外国人対応の強化や海外進出を考える企業も増えています。多言語に対応できる人材がいれば、海外顧客とのやり取りもスムーズです。また、受付や接客での外国人対応など、インバウンド対策としても効果的です。
煩雑な手続きを代行してもらえる
外国人を派遣で雇用する場合、雇用や採用に関する手続きは派遣会社が行います。
外国人の雇用や採用に関する煩雑な手続きには時間と労力がかかるため、それらを代行してもらうことで、自社の負担を減らせます。直接雇用には無いメリットです。
必要な人材を確保できる
外国人を派遣で雇用することで、必要な人材を確保できます。
就労目的で来日している外国人には、エンジニア、研究者、教師など、専門的な技術やスキルを持つ人材がいます。また、優秀な外国人材を多数抱えている派遣会社を利用すれば、より必要な人材を確保しやすくなるでしょう。既にスキルを持っている人材を雇用できれば、即戦力として活躍してくれるので、企業の負担も軽減されます。
外国人を派遣で採用する際の注意点
外国人を派遣で採用する際の注意点は以下の通りです。
- 言語・文化の壁がある
- 長期雇用が難しい
- 対応できない業種がある
言語・文化の壁がある
外国人を派遣で雇用する場合は、言語・文化の壁に注意が必要です。
意思疎通ができなかったり、文化の違いによるコミュニケーションエラーが起きたりして、トラブルや離職に繋がることもあるでしょう。そのような問題を解決するためには、日本語や日本でのマナーを学ぶ勉強会を開催したり、お互いの文化に触れる機会を設けるのがおすすめです。また、日ごろからお互いの文化や価値観を尊重し、歩み合うことを意識しましょう。
長期雇用が難しい
外国人を派遣で雇用する場合、長期雇用が難しいケースがあります。
例えば、短期間で出稼ぎに来ている場合やビザの制約がある場合などが考えられます。
また、家族や祖国の事情で急遽帰国してしまうケースもあるでしょう。
外国人を派遣で雇用する場合は、どのくらいの期間働く意思があるのかを事前に確認したり、長期雇用が難しい点を理解した上で雇用したりする必要があります。
対応できない業種がある
外国人を派遣で雇用する場合、対応できない業種があります。
先ほども触れたように、外国人に限らず以下の業務は派遣就労では禁止されています。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院等における医療関係業務
上記のような業務を外国人に任せたい場合は、直接雇用など他の雇用方法を検討しましょう。